雑記

職場のハラスメント問題

企業のハラスメント相談窓口をしているのですが、私も、日頃から行動や発言には注意し、指導するときには意味を持った説明をすることを心がけています。

よくある事例として、指導をする立場から、繰り返しミスをする部下に言動が過激化し、違和感、疑問が不安や不満、怒りに変わり、コントロールできない怒りや嫌悪感のある指導がパワハラに変わってしまいます。
そうなる前に、ハラスメントとは何かを理解し、発生プロセス知ることで、感情をコントロールができ、ハラスメントの発生を防止できます。

ハラスメントとは

他人に対する発言、行動が本人の意図には関係なく起きてしまいます。

・相手を不快にさせること。
・相手の尊厳を傷つけること。
・相手に不利益を与えること。
・相手に脅威を与えること。

全てがハラスメントに該当する可能性があります。

なぜ職場のハラスメントが問題なのか

ハラスメントを受けた社員、職場、行為者、会社への影響は?

ハラスメントを受けた社員への影響

・「心の傷」を負い、「働き甲斐」、「働く喜び」を奪われ、人生が大きく変わる。

・治療やサポートでの本人や家族の多大な時間と労力が必要になる。

・家族、残された遺族の深い「心の傷」や「悲しみ」「恨み」が生まれる。

・欠勤、休職中の「生活等資金」、「遺族の今後の生活等資金」が必要になる。

職場への影響

・人間関係の希薄化から、職場の雰囲気が悪くなる。

・労働意欲の低下やモラルが低下する。

・事態に対応しない会社への不信感や将来の不安による離職。

行為者への影響


 ・民事上の責任として損害賠償を請求される可能性がある。

・名誉棄損、侮辱罪、脅迫罪、暴行罪、傷害罪などの可能性がある。

・被害者の人生を大きく変えた責任を一生負う。

・社会的信用を失い、社会からの見方が大きく変化する。

・会社から処分を受け、自身の家庭にも影響が出る。

会社への影響

・人材の流出により、貴重な労働力、従業員を失う。

・訴訟対応や賠償については、行為者と連帯債務を負う。

・企業イメージの悪化、お客様や消費者等からの風評リスク。

・業績が悪化する。

パワーハラスメントについて

パワーハラスメントの定義

同じ職場で働く者に対して、業務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景業務の適正な範囲を超えて、精神的、肉体的苦痛を与える行為、就業環境を悪化させる行為を言います。

業務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景とは

「上司から部下」「先輩・後輩間」「同僚間」「部下から上司」に対して行われる、いじめや嫌がらせ。「職場内の優位性」には、「職務上の地位」に限らず、「人間関係」や「専門知識や経験」などの様々な優位性が含まれます。

業務の適正な範囲とは

職場の業務を円滑に進めるために、管理職には一定の権限が与えられて、業務上の必要な指示や注意を不満に感じる場合でも、「業務の適正な範囲」で行われていれば、パワーハラスメントには該当しません。

・起こった事実に対して指導することはOK
・人格を否定するような言い回しはNG

パワーハラスメントはなぜ起きてしまうのか

  • パワーハラスメントが発生する原因には、コミュニケーション不足がある。
  • 社内のパワーバランスが上手くいかないことで、職場がうまくいっていないことが原因。
  • パワーハラスメントには、個人に問題がある場合、組織に問題がある場合とある。
  • 個人に問題がある場合でも、背景には問題に対する組織の対応や対策に問題がある場合がある。

パワーハラスメントを防止するために

指導がパワーハラスメントに発展するプロセス

第1段階:部下へのミスの注意。⇨日頃のコミュニケーション不足からズレが発生する。

第2段階:新たなミスが発生し、注意や叱責が繰り返される。⇨コミュニケーションの悪化。

第3段階:萎縮しミスが増加、叱責も過激化し関係が悪化する。職場へ悪影響を及ぼす。

第4段階:さらに叱責が過激化すると、精神的ダメージが大きくなり就業不能となる。

コントロールできない怒りに発展しパワーハラスメントへ発展してしまいます。

パワーハラスメントにならないために

スタンスの取り方

  • 他の職員の前で𠮟責は避け、別室で指導する。
  • 長時間、毎日の叱責は避ける。
  • 他の関係者を交え指導する。(自身への抑止)
  • 特定の人にかたよらず、平等に指導する。
  • 職種・役職により求めるレベルは異なることを認識する。 

話し方のコツ

  • 簡潔に指導する。
  • 具体的な事実をもとに指導する。
  • 行為は指導しても、人格は否定しない。
  • 態度や声、表情にも気をつける。
  • 一方的に決めつけず、反論の余地を与える。
  • 相手が納得できるように伝える。
  • 感情的になっている時は、間を空ける。
  • 日ごろから、認める、ほめるなどのプラスメッセージを出しておく。
  • 部下の健康状態や心理状況を、正しく把握する。

ほめ方のコツ

  • 行為だけでなく、人格もほめる。
  • 軽くほめる、しっかりほめるの組み合わせ。
  • 第3者からほめられたことを伝える。
  • 他の人の前でもほめる。
  • その人が大事にしている価値観を知っておく。
  • 上から目線でほめるより、感動を伝える方が効果的です。

叱り方のコツ

  • 感情的にならない。
  • 理由を説明する。
  • 手短に叱る。
  • 人格に触れない。
  • 他人と比較しない。
  • 根に持たない。
  • 個別に叱る。

威圧感を与えない工夫

  • 上着を脱ぐ。
  • 正しい姿勢で話す。
  • ゆっくり話す。
  • 声のトーンを落とす。
  • 真正面には座らない。
  • 目を睨まない。
  • 顎を上げて話をしない。
  • 眉をひそめない。
  • 舌打ちしない。

感情の制御

アンガーマネジメント

怒りに反射しないことが対処方法と言えます。怒りを感じたら、6秒我慢してみてください、完全に怒りは消えませんが、理性的になれますので正しい行動が取れるようになれます。
6秒でも怒りが収まりそうもないときは、その場から離れることも効果があります。
怒りの対象から気をそらすことで、冷静になることができます。

怒りを分析してみる

人は不安や恐怖、嫉妬、寂しさ、心配、自己嫌悪など、自分が受け入れがたい「1次感情」があるときに、それを隠すように「2次感情」である怒りという言動をとると考えられています。相手に怒りをぶつけるのではなく、「心配している」「不安なんだ」という感情を説明することで、相手にも冷静に話ができるようになります。

まとめ

自らの行為がパワーハラスメントになっていないか注意、職場内にも発生していないか注意、隠れたパワーハラスメントがないか周囲のメンバーの変化にも注意することが大切です。
円滑な職場のコミュニケーションを醸成させ、職場の全員で働き易い職場環境を構築していくこと、職場の課題に向き合い解決していくことが重要です。